何らかの事情によって住宅を相続しなければならないシーンが訪れるのは、珍しくありません。相続した家の使い道がないのであれば、放置するのではなくできるだけ早く売却することをおすすめします。
一戸建て売却に関する知識として、相続の手続きや空き家を放置するデメリットについて確認しておきましょう。
必要な手続きと書類
一戸建て売却を行う前に、まずは相続の手続きが必要となります。
相続は、以下の手順で作業が行われます。
- 遺言書:相続人について記載されていないか確認
- 遺産分割協議:遺言書などがなく、相続人が複数いる場合に行う
- 相続登記:相続人が決まったら、遺産の名義変更を行う
被相続人が亡くなった後は、お葬式やお通夜、その他様々な手続きを行う必要があるため、大変忙しくなることが予想されます。
焦らず、申請漏れがないようによく確認しながら並行して進めましょう。
1.相続に必要な書類
被相続人の遺産を相続する場合、多くの書類が必要となります。以下にまとめましたので、一つずつ確認していきましょう。
なお、相続人に関して必要な書類は、複数人いる場合どれも全員分が必要となります。
- 相続人の戸籍謄本
- 不動産を相続することになった相続人の住民票
- 他の相続人全員分の住民票(写し)
- 相続人の印鑑証明書
- 遺産分割協議書
- 委任状
- 被相続人の戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票(除票できなかった場合は、戸籍の附票)
- 不動産の登記事項証明書
- 不動産の固定資産税評価証明書
2.書類を用意するためにかかる費用について
多くの書類が必要となるため、発行するためにかかる費用も多額になります。
すべての書類を集めると郵送にかかる費用はおよそ5,000~2万円です。
また、忘れてはならないのが登記です。登記を行うためには専門的な知識が必要であるため、司法書士に依頼するのが一般的です。
費用として5〜7万円ほどはかかってしまいますが、慌ただしい時期に登記を個人で行うのは極めて困難なので、依頼することをおすすめします。
空き家を放置したらどうなる?3つのデメリット
相続した空き家は思い入れがあったり、いつか使うかもしれないと考えてなかなか手放せない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、相続したものの使い道がない空き家は、放置を続けると様々なデメリットが発生します。
今回は、大きく分類して代表的な3つのデメリットをご紹介します。
1.固定資産税が発生する
不動産を所有していると、毎年必ず固定資産税が発生します。
たとえ使用していなかったとしても、所有しているだけで発生しますので、使い道がなければ早いうちに手放してしまうことをおすすめします。
建物は新築の状態がもっとも価値が高く、月日の経過とともに下がっていきます。時間が経てば経つほど売却価格が下がってしまうので、できるだけ早く売却したほうがよいのです。
しかし、いくら使い道がないからといって土地ごと手放すのは惜しいと思われるかもしれません。
建物が建っていると土地に発生する固定資産税が安くなるため、取り壊しや売却をせずに空き家が残ってしまっているケースは少なくないのです。
もし、空き家が特定空き家に指定されてしまうと、固定資産税を従来の6倍払う必要が出てきます。
老朽化に伴う倒壊が危ぶまれたり、周囲の景観を損なうと判断されてしまったりすると、自治体によって特定空き家に指定されてしまいます。
2.天災や老朽化による倒壊の危険性
老朽化した住宅は非常に危険で、場合によっては倒壊するおそれがあります。また、地震や台風によるリスクが考えられます。
特に日本は年間を通して地震が非常に多い地震大国なので、気をつけなければなりません。住宅が倒壊すると、周囲に深刻な被害を及ぼすおそれがあります。また、放置を続けるとシロアリなどの害虫による被害が加速することも考えられます。
人が手をつけなくなると、より一層倒壊のリスクは高まってしまうのです。
3.犯罪の発生を招くおそれがある
空き巣は人気があまりない静かな住宅地を狙って犯行を行います。空き家を放置していると、周辺の住宅を含め空き巣による被害を被る可能性が高まってしまうのです。
空き家には盗まれて困るものがないからといって、自分だけの問題で済まないかもしれない点には注意しましょう。
また、放火のリスクも考えられます。年間を通して日本では3〜4万件の火災発生が確認されていますが、そのうち1割は放火によるものだとされています。
空き家を放置することで、周囲への火災の被害が増えてしまう可能性があるのです。